
【クラブ取材】「お寺」から育む人間性とサッカー哲学。エストレーラFCインファンチルが目指す、地域に愛される選手育成 自ら考え、ピッチを躍動する。
Junichi FUKUDA
SportGraphWorks
神奈川県横浜市・正福寺を拠点に活動し、文武両道と高い競技実績を両立させる注目のジュニアユースクラブ「エストレーラFCインファンチル」。指導者を務める菅野将太コーチへのインタビューを通して、クラブの指導理念や魅力的な育成環境、そして将来の展望について取材しました。


【チーム基本概要】
クラブ名:エストレーラFCインファンチル
活動地域:神奈川県横浜市港北区
拠点:横浜市港北区
対象:ジュニアユース(U13~U15)(所属選手:120名)
練習時間:平日水・木・金(19:00〜20:30)、土日祝
所属リーグ:神奈川県2部リーグ
主な戦績:クラブユース関東大会出場(2023年)、横浜市長旗杯優勝(2025年)
指導体制:スタッフ11名(JFA公認A級ジェネラル保持者1名、B級保持者1名、C級保持者5名)

「お寺」で研ぎ澄ます心と、主体性を生む「ムービングフットボール」
——本日はよろしくお願いします。まず、菅野コーチがエストレーラFCに関わるようになった経緯から教えてください。
菅野コーチ:よろしくお願いします。元々はサッカー指導者の派遣事業を行っている会社に勤めており、その派遣という形でエストレーラFCに来たのが始まりです。当時、クラブの「立て直しや更なる進化」を図るタイミングで人材を求めており、ご縁があってマッチングしました。それが気づけば今年で8年目になります。 自分自身、最終的には「自分のサッカー哲学」を最も成長が目に見えやすい中学生年代に落とし込みたいという想いが最初からありました。そのために大学・高校サッカーやJクラブなど様々なカテゴリーで経験や失敗を積み、満を持して中学生指導に還元したいタイミングと重なったという背景もあります。
——クラブが志向する「人とボールが動くムービングフットボール」について、日頃どのようなアプローチで落とし込んでいるのでしょうか?
菅野コーチ:根底にあるのは「主体的に自分で考えて行動できる選手」になってほしいという思いです。日頃のトレーニングから『考えてプレーする』ことを徹底し、攻守ともにチームのために走り闘う、観ている人が感動するようなエモーショナルな試合を目指しています。 練習でもルール設定を工夫し、常に頭に刺激が行くメニューや1人では解決できないメニューを取り入れています。「自分たちで考えて課題を解決する」体験を重ねることで、自分の意思で正しい判断ができる力を養っています。 当然「個」の打開も大切ですが、重要なのは「その状況で正しい選択ができたか」。失敗してもフィードバックを行い、次の成長につなげるプロセスを重視しています。


——拠点である「正福寺」というお寺の環境は、人間教育にどのような影響を与えていますか?
菅野コーチ:私たちはサッカーの前に「まず人として正しい行動を取れること」を何よりも大切にしています。ミーティングやお経・座禅、栄養講習なども基本的にお寺で行うのですが、あの静寂な空間に身を置くだけで心が整理され、自然と姿勢が整っていきます。 また天台宗の教えにある「六波羅蜜(ろくはらみつ)」のような「他者への奉仕」や「困難に立ち向かう」考え方は、私たちが伝える「仲間や地域を大切にする」姿勢と見事にリンクしています。 多感な中学生特有の悩みやトラブルがあった際も、住職であり代表の奥村良玄先生が「第3者的な温かくも厳格な存在」としてしっかりと教育してくださる。指導者や保護者とはまた違う大きな存在がいることで、選手たちの背筋がピンと伸びる素晴らしい環境になっています。

チームの原点にある泥臭い守備力と「地域に愛される」姿勢
——クラブユース関東大会出場や横浜市長旗杯優勝など輝かしい実績もありますが、サッカーにおける強みとは何でしょうか?
菅野コーチ:間違いなく「泥臭い粘り強さ」や「守備の頑張り」がクラブのDNAとして根付いています。苦しい展開でも全員でゴール前を死守し、そこから力強い攻めへとつなげる戦いです。 私が着任した当初は、0-10や0-20で敗れるような状態からのスタートでした。人数も少なくレベルもこれからのチームでしたから、まずは「どう守るか」から入らざるを得なかったんです。その愚直に闘う姿勢が、8年経った今も良い意味でチームに引き継がれています。

——スローガンである『地域に愛される・応援されるチーム』への取り組みについて教えてください。
菅野コーチ:お寺(寺子屋)は昔から「町のシンボル」であり、人々が集う場所でした。サッカーを通じてもそうした地域の存在でありたいと考えています。「サッカーを頑張る、結果を出す」ということは、周りから応援されるためにあると思っています。 そのため、ピッチ外でも地域に向けたお祭りを実施したり、地域清掃活動を行ったりと、感謝を還元する活動を心掛けています。 選手たちにも「どうすれば応援されるか」を問いかけています。サッカーだけでなく、家庭での生活態度、学校での勉強、地域の方々への挨拶などすべてがつながっている。そうして周囲に応援される経験は、将来サッカー以外の仕事に就いた時にも必ず大きな財産になります。

一歩ずつのステージアップと、その先の未来へつなぐ育成
——120名の選手に対してライセンス保持者が多数在籍されていますが、指導の統一感はどのように図られていますか?
菅野コーチ:人間性の面では「選手の個性を消さず、純粋なまま伸ばす」という共通認識を持っています。 技術面では3年生が目指すフットボール像をひとつのゴールとし、各学年のコーチが段階に合わせた指導を行っています。私が統括として全学年の練習や試合に目を通し、フィードバックを行っています。メニューの固定化はせず、コーチ陣のひらめきやカラーも尊重しています。大切なのは「意図が明確か」「全員に均等に指導が行き届いているか」というチームマネジメントやメンタル面のケアだと考えています。

——最後に、今後の目標と未来像を教えてください。
菅野コーチ:チームとしては一歩ずつ着実にステージを上げていくことです。5年・10年という中長期的なスパンでリーグ戦のカテゴリーを引き上げ、結果もついてくるような土台を作っていきたいですね。 そして将来、プロや世界で活躍する選手が出てくることはもちろん、サッカー以外の道で大成した卒業生がコーチや支援者として戻ってきてくれたら最高です。さらには……正福寺のあとを継ぐような熱いOBが出てきてくれたら、なお面白いなと思っています(笑)。





【取材を終えて】 「正福寺」という独特の環境を最大限に活かし、技術指導にとどまらない「人間形成」に真摯に向き合うエストレーラFC。取材中も、選手たちがコーチに対して物怖じせずフランクに声をかけ、明るくノリ良くピッチを駆け回る姿が印象的でした。 そこにあるのは単なる上下関係ではなく、お互いを認め合い、本音で高め合えるオープンで温かな信頼関係です。子どもたちの10年・20年先を見据えた菅野コーチの情熱と、活気あふれる選手たちの笑顔。ピッチとお寺を行き来しながら成長していく彼らの今後の活躍が、ますます楽しみになりました。
【クラブインフォメーション・進路案内】
■ 卒団生の主な進路実績
・(県立)横浜翠嵐高校、川和高校、市立金沢高校、荏田高校、元石川高校、新羽高校、住吉高校、港北高校
・(私立)桐蔭学園高校、東海大相模高校、日本大学高校、横浜創英高校、横浜創学館高校、星槎国際高校、横浜清風高校、横浜隼人高校、日大三高校、國學院久我山高校、東京高校、関東第一高校、日体大荏原高校
・(県外)青森山田高校、日本航空高校、帝京第五高校、佐野日大高校、流通経済大付属柏高校、聖和学園高校 ほか
■ 練習日程
・平日:水曜・木曜・金曜(19:00〜20:30)
・週末:公式戦、トレーニングマッチ、トレーニング等
■ 体験会、セレクション情報
・体験会:公式HPおよび公式LINEにて随時受付中
・セレクション:毎年8月下旬開催
■ お問い合わせ
公式サイト 代表者:奥村 良玄 監督:菅野 将太
TEL:045-591-8059
公式サイト:エストレーラFC公式HP
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